社中レポート

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お返事頂きました。

投稿日:2014年09月11日

お、怒ってる…?

苔神工房 北川さんからお返事いただいたのですが、怒ってる…?

なんだか難しい感じだな~~


白石 達也 様

メールを拝見致しました。
ホームページを見て頂いていることも、併せて、有難うございます。

障害者の支援として、こけ玉を製作して、インターネットで海外へ輸出したい、とのことですね。
お考えは的を得ていると思います。
海外、アメリカやヨーロッパ、アジアでも、こけ玉や盆栽、苔庭といった日本の文化を感じるものへの憧憬と需要は、高いものがあります。
特に、苔は、世界中どこにでもあるのですが、苔を取扱い育てる技術は、世界のどこにもないようで、日本の苔の技術に注目が集まっています。
この意味で、こけ玉を製作して、世界へ提供するという白石さんのお考えは的を得ています。
苔やこけ玉を事業とすることができれば、かなりの収益を得ることができるはずです。
しかも、ある意味で言えば、障害を持つ人たちでも苔玉を製作することは、それほど難しいものではありません。

しかし、良くお考え頂きたいことがあります。
まず、私のホームページを読んで、「製造方法、飼育方法はなんとなく理解できました」とありましたが、これが落とし穴であることを知って頂きたいのです。

苔を人工栽培するには、最低でも2年は掛かります。
人工栽培した苔の苗を使用して、こけ玉や盆栽、苔庭を作って、そこで苔を育てるには、最短でも、半年程度は掛かります。
時には、数年かけて育てて、ようやく定着したと認められるようになるものもあります。
私は作った苔玉を5年以上育てていますが、苔の玉が、作った時の2倍以上の大きさになっています。
本来、苔はそのように生育することができる植物なのですが、私の知る限りでは、苔玉を半年以上育てられる人は、ほとんどいません。
製作し、販売している人でさえ、1年以上育てたことのある人は少ないのです。

何故、このような状態になっているのかと言えば、誰も、苔を知らないからです。
まず、苔の専門家の集まる日本蘚苔類学会の教授でも、苔の生態を研究する人はほとんどいません。
植木屋さん、造園業、園芸農家、苔玉の講師、こうした植物の専門家でも、苔の名前すら知らない人がほとんどなのです。

苔は生命力の強い植物で、でたらめな方法でこけ玉を作っても、2~3ヶ月くらいは観賞に耐える外観を保ちます。
このように、誤った苔の使い方でも、容易に人に教えたり、制作して販売したりすることができます。
現在でも、テレビや雑誌で、そうした誤ったこけ玉の製作方法や育て方が、公然と通用してしまっています。
その結果、こけ玉は製作してから半年くらいの寿命なのだという通説がまかり通っています。
このために、こけ玉は消耗品で、販売価格は高額にならないばかりか、苔玉を販売した後、数年後には、苦情やクレームのために、販売を止めてしまう方が続出しています。
苔を栽培する、育てる、苔玉を育てる、苔庭を育成する、その技術の根底には苔の生態を知る必要があります。
苔の需要は高いのですが、その需要の大半が、実は、苔の使い方や苔の育て方という、苔の技術の需要に他ならないのです。
苔玉を製作して販売すると、必ず「どうやって育てればいいですか?」と質問されます。
教えた通りにやって、うまく行かなかったら、信用を失います。
(最近、私の元へ、「苔玉を購入しました。購入した店では、日本苔技術協会のホームページに育て方が書いてあるから、その通りにして下さいと言われた。どうすればよいか。」という問い合わせが増えています。お店の名前を聞けば、私の知らないお店です。どんな苔玉の作り方をしているのか分かりません。とても無責任な販売店だと思います。苔玉の作り方と育て方は、別々ではありません。)

白石さんは、どの程度、苔について知ってますか?

植物を諸外国へ輸出することは、植物検疫がとても難しいのです。
植物を生産し、販売する事業所が、それぞれに工夫して植物検疫の対策を研究し、努力しています。
それらの事業所が工夫する検疫対策の技術は、あるところでは特許権を有していたり、企業秘密だったりするところもあります。
どうすれば、植物検疫をクリアーすることができるか、教えてあげることができるとすれば、多くの税関に併設されている検疫所を訪ねて、尋ねてみることです。
人に聞いたことを頼りに、見よう見まねですることには、大きなリスクが伴うことも、白石さんには知って欲しいところです。

苔玉を製作することは、それほど難しいことではありません。
インターネットで販売することも、容易です。
でも、事業として苔を扱うおつもりなら、それなりの覚悟と、努力する必要があります。
私が日本苔技術協会を立ち上げ、事業を目指す人たちに技術を教えているのは、永続的な事業を行うには、必ず知っておかなければならないことがあると確信しているからです。
それは、苔を学ぶことです。
日本苔技術協会、そこで私が教えているのは、苔を学ぶ方法なのであって、上手に苔を売る方法ではありません。


お分かり頂けましたでしょうか。

苔玉の製作、苔の栽培、これらについての見学は、日本苔技術協会の会員には解放しておりますが、一般の方はお断りしております。
悪しからず、ご了承下さい。

まだ、不明なことがございましたら、再度、ご連絡下さい。

日本苔技術協会 苔神工房 北川義一

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