社中レポート

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お返事頂きました。2

投稿日:2014年09月12日

わかってもらえた…?

体当たりしてみるもんだ?

自分の思うところをわかってもらえたんじゃないかな?



白石 達也 様

メール拝読、致しました。
白石さんのおっしゃること、理解できました。

白石さんがやろうとしてることは、障害者の皆さんに苔玉を作らせることだと思いますが、障害者の方が苔玉を作りながら、自分の存在に、何を感じ、何を考え、そして何を見い出すのか、そのことを考えて頂きたいと、私は思います。
苔玉が海外に売れれば、それによって、国内の人々の障害者に対する評価が変わるとありましたが、大切なのは、周囲の目ではなく、障害者自身の思いなのだと、私は考えます。
どのような生活であろうと、どのような環境であろうと、そこで生きる人の思いは様々で、他の周囲の目とは関係なく、それぞれの人生を生きています。

私の妻は、中学校の特殊学級で障害児の介助員をやっています。
時々、妻と障害児の将来の人生について議論します。
障害児であっても、その児の独特な感性や能力があるはずです。
その能力が自らの努力によって発揮されれば、その児の思いは熱くなるだろうと思います。
それは、決して周囲の評価によって熱くなるのではありません。
自らの思いが熱くなれば、周囲の評価や、生活のレベル、そんなものとは関係なく、生きて行くことができるのではありませんか?
私自身がそんな生き方をしています。

日本苔技術協会には、60名余の方が参加して苔を学び、事業に生かそうと頑張っています。
彼らが目指している事業はそれぞれです。
庭造りで苔を扱うこと、苗を育てて販売すること、苔を使った製品を作り販売すること、苔玉作りを人に教えること、建築や土木事業で苔を利用すること、等々、様々です。
ですが、彼らが最初に私からアドバイスを受けるのは、「苔の観察」と「苔を育てること」です。
苔を育てるには、1年ほど掛かります。
彼らが1年の間、苔と向き合い、目で見て、手で触り、育ててみる、この経験が、苔の事業を進めて行くうえで必須なのです。
苔の観察のし方や、受け取り方、考え方などは、指導します。
苔を栽培する方法や対処の仕方は、指導します。
実に、地道な作業で、根気を必要とする課題です。
1年後、様々な種類のコケを上手に育てた人もいれば、ほぼ、何もせずに終わってしまう人もいます。
私は彼ら一人一人のやり方に口出しはしません。
人には人のやり方があるからです。

3年前に、仙台のますみ学園という障害者施設で苔の生産を始めました。
それまで、花苗を生産していたのですが、なかなか利益が出ないという悩みを持っていました。
仙台在住の日本苔技術協会の会員が、ますみ学園と交渉して、苔の生産を勧めました。
そこで生産された苔の苗は、その会員が買い取るという協力体制でした。
苔の栽培については、その会員がますみ学園の担当者に教えることになりました。
私は、栽培を始める前に、一度、現地を見に行き、圃場整備について指導しました。
昨年の春、機会があってますみ学園を訪れ、圃場を見学しました。
やや、生育に難がありましたが、まずまずかな、と思っていたのですが、今年春に再訪しましたら、どうしたわけか大半が駄目になっていました。
ますみ学園の担当者は、苔については全くの無知で、栽培途中の苔の様子を見ても、順調なのかそうでないのか判断できません。
会員は多忙で、担当者から何の連絡もないので、圃場へはほとんど行っていませんでした。

苔は生物です。
日々、変化する気象や環境に影響されます。
苔を育てることは、子供を育てることと同じです。
常に注意して見続ける必要があります。
その上で、わずかな変化の兆候から、何が必要なのかを判断し、対処しなければなりません。
苔を観察すること、苔を育てること、その経験と、そこから何を学ぶかということが、どれほど重要なことか、理解して下さい。

さて、私は障害者の方たちが苔を生産し、苔の事業を立ち上げることに、大きな可能性を感じています。
私は、妻が望むなら、障害者の方と苔の事業を立ち上げるように、いつも、進言しています。
妻は躊躇していますが、いつかは、障害者による苔の事業を立ち上げたいと、考えていました。
私の考える障害者による苔の事業は、白石さんの考えるイメージとは少し異なると思いますが、白石さんが苔をもっと知るようになれば、理解できると思います。
苔は利益の高い事業です。
その意味で、効率のよくない作業人員でも、なんとかマネジメントすることができる利点があります。
苔の栽培そのものの作業は、根気よく苔を観察すること、変化を見つけることという、それほど難しいことではありません。
難しいのは、その変化にどのように対処しなければならないか、知識と経験をもとにして判断しなければならないことです。
農家の方が、育てている野菜の面倒を見ることと、ほぼ同じです。
苔の栽培の作業は、健常者と障害者の区別なくできる作業です。
現在の所、苔の事業を発想するのは健常者ばかりだというだけで、誰がやってもいいのです。
ただ、苔の生態はほとんど知られていませんから、苔を学ぶ必要があります。
また、事業として運営しなければなりませんから、マネージメントも必要になります。
この点で、障害者には高いハードルになっていると思います。
しかし、支援者がいて、このハードルをクリアーすれば、障害者であることなどは関係ありません。
ほっとステーションの障害者の方々が苔の事業をやってゆけるか否か、それは、白石さん次第ということになります。

ほっとステーションのホームページを見ました。
かなり重度の障害者もおられるようですね。
でも、苔の面倒を見ることができそうな方もおられるようです。
誰がどのような作業ができるか、私には分かりません。
また、白石さんも、どんな作業があるのか、分からないのだと思います。
苔の事業にも様々な選択肢があり、どんな事業を目指すかによって、作業の内容がそれぞれ異なります。
その選択は、白石さん次第ということになります。
その意味でも、白石さんは苔を学ばなければならないでしょう。

これらのことを良くお考えになって、決断して下さい。
苔の事業をおやりになると決断されたら、私も協力しましょう。

日本苔技術協会 苔神工房 北川義一

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